イタリア人は全員サッカー好きってホント!?
イタリア人はサッカーが好きなの?
20年前、イタリアに来る前には私もそう思っていました。
しかし実際にイタリアに来てみて、「僕はカルチョ(イタリア語で『サッカー』の意)が好きなんですよ」というと、「そうなんだ、僕はそうでもない」とか「カルチョ?私は嫌いだわ」という人が多い事に、ちょっと拍子抜けしたのを今でも覚えています。
そしてサッカー経験者よりも空手や柔道、合気道といった武道を実践する友人と知り合うことが多く、イタリア人は皆サッカー好きで誰もがサッカーをプレーすると信じていた私は、意外にも日本のスポーツが受け入れられている事に少し嬉しさを覚えました。
とは言うものの、やはりサッカー環境という面では、イタリアには小さな町でもサッカー場やフットサル場があり、日本に比べてサッカーが文化になっていることが分かります。
私は人口400人ほどのピサ近郊の田舎町に住んでいますが、こんな小さな町にも人工芝のフットサル場があり、数年前までは毎週のように友人達とフットサルに興じていました。
残念ながら、今はもう走り回る体力はありませんが(笑)
サッカーを毛嫌いするイタリア人女性
サッカー好きを公言すると、大半のイタリア人女性からビックリされることがあります。
ある時、友人にサッカーに関する愚痴を聞かされました。彼女の言い分はこうです。
「サッカーシーズンが始まるとボーイフレンドが週に2日は居なくなる」と言うのです。
毎週末にセリエA(イタリアプロリーグ)のリーグ戦が開かれて、試合がある日はバールに観に行ってしまう。そして、火曜か水曜にはチャンピオンズリーグ(欧州クラブ選手権)の試合があってその日もまた不在。
「贔屓のチームが負けた日はいつも機嫌が悪いの」と諦めムードで話していました。
確かに彼氏にとっては楽しい9ヶ月のシーズンかも知れませんが、興味のない女性にとってはサッカーに彼氏を取られてしまう期間になる訳です。毛嫌いする女性が少なくないのも頷けますね。
リーグ戦は観ないけどワールドカップは別
そんなサッカー嫌いの女性たちも、国同士が戦うワールドカップは観るという人はたくさんいます。
実際、アズーリという愛称で呼ばれるイタリア代表が2006年ドイツ大会で優勝した時は、国中がお祭り騒ぎでした。
私も田舎の近所の小さなバールに観に行きましたが、準々決勝以降は屋外に特設スクリーンを設置して、男女を問わず老人から子供まで一緒になってイタリア代表を応援していました。そして、優勝が決まった瞬間は皆で抱き合って喜んだものです。
同じ町や隣町同士のチームが対戦することを「ダービー」と言いますが、相手チームに対する嫌悪感は日本人の想像を絶します。
例えば私が住むピサは隣町のリヴォルノと犬猿の仲です。街の標識や壁に落書きをして、「ピサのバカヤロー」とか「リヴォルノなんてク〇食らえ」と罵り合っています。実際に両チームが試合をする時は、争いが起きないように警察が動員されます。
こういったダービーはイタリア各地で繰り広げられるのです。
そんな犬猿の仲であるティフォーゾ(サポーター)たちが、ワールドカップでは仲間となってイタリア代表を応援する。そしてシーズンが始まればまたお互いを罵り合う。
そんなサポーターたちを見るのも、またイタリアサッカーの面白さかも知れませんね。